まずは前回の解答・解説から。
妊娠28週で反復する腹痛は、切迫早産や常位胎盤早期剥離などを疑う。妊娠28週での正常子宮底長は(妊娠月数×3+3)より8×3+3=27cmであり、この妊婦の子宮底長36cmは明らかに大きい。そこから巨大児や羊水過多などが鑑別疾患として出てくる。経腟超音波で頸管長10mmや内子宮口の楔状の開大は切迫早産徴候を示しているといえる。胎児推定体重の1100gは胎児発育として正常である。AFI>25であることから羊水過多が疑われる。
a.塩酸リトドリンが有効である ⇒正しい。β刺激薬の塩酸リトドリンは子宮の収縮を抑制し、切迫早産抑制に良い。
b.分娩後の弛緩出血のリスクが高い ⇒正しい。子宮の過伸展により収縮が不良となることで生じる。
c.原因にPotter症候群がある ⇒間違い。Potter症候群では腎無形成のために尿産生が行われず羊水過少となる。
d.子宮底長は正常より大きい ⇒正しい。上記の通り。
それでは今日の問題。
28歳の初妊婦。妊娠24週に急激な腹囲の増大と体重増加とを主訴に来院した。妊娠初期の超音波検査で1絨毛膜2羊膜性双胎と診断されている。来院時、子宮頸管長は40mmであった。超音波検査で両児間の推定体重に差を認めない。第1児の最大羊水深度を計測した超音波像と両児間の隔壁を示す超音波像(矢印は隔壁)とを別に示す。
妊婦に対する説明として誤っているのはどれか。
a.「第1児の羊水量が多いです」
b.「2人の性別は必ず同じです」
c.「双胎妊娠自体は増えています」
d.「2人の臍帯が絡み合うと危険です」
参考問題は112D75
→https://minkore.com/bbs_view/112_4_75
解答・解説は次回。