正答率8割問題作ってみた-16 腎臓 《浮腫&倦怠感&呼吸困難》

まずは前回の解答・解説から。

蒸し暑い部屋で泥酔し、就寝後に筋痛が生じたということで、筋肉障害が疑われる。体温も少し高いため熱中症に起因するものと想像できる。また、徒手筋力テストで筋力低下は認められるもののその他の神経学的所見がないため、中枢神経系の異常は否定的といえる。尿が暗赤色で尿潜血3+から肉眼的血尿を疑うが、尿沈渣で赤血球に乏しいために血尿ではなくミオグロビン尿やヘモグロビン尿が考えられる。以上のような病歴・身体所見・尿中赤血球陰性所見より、高温環境下による横紋筋融解症の可能性が高い。横紋筋融解症は急性尿細管壊死、すなわち急性腎障害・急性腎不全の中でも腎性の原因となる。本問は、急性腎障害・急性腎不全における血液生化学所見を理解しているかを問う問題であった。

a. クレアチンキナーゼ ⇒腎機能が低下すると、血中クレアチンキナーゼは上昇する。

b. 尿素窒素 ⇒腎機能が低下すると、血中尿素窒素は上昇する。

c. HCO3- ⇒正解。急性腎不全では高度な代謝性アシドーシスをきたすことがある。すなわちHCO3-は低下する可能性がある。

d. カリウム ⇒急性腎不全では血清K値が上昇し、場合によっては不整脈を引き起こして致死的となることがある。グルコン酸Caの静注が必要。

それでは今日の問題。

64歳の男性。浮腫と全身倦怠感、呼吸困難を主訴に来院した。10年前に健康診断で血糖高値と血圧高値とを指摘されたが受診しなかった。半年前から夜間排尿回数の増加を自覚していた。1か月前から浮腫と全身倦怠感とが出現し、昨夜からは呼吸困難も生じたため受診した。飲酒は日本酒1合/日を40年間。喫煙はしない。身長168cm、体重74kg。体温36.0℃。呼吸数22/分。脈拍98/分、整。血圧166/100mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。心尖部に2/6度の収縮期雑音を聴取する。両側下肺野にcoarse crackles(水泡音)を聴取する。腹部は軽度に膨隆し、圧痛を認めない。肝・脾を触知しない。前脛骨部に著明な浮腫を認める。尿検査:蛋白3+、糖1+、潜血1+。血液所見:赤血球280万、Hb 6.9 g/dL、Ht 22 %、白血球7,000、血小板20万。血液生化学所見:空腹時血糖146mg/dL、HbA1c6.8 % (基準4.3-5. 8)、総蛋白 4.6 g/dL、アルブミン 2.6  g/dL、尿素窒素 120 mg/dL、クレアチニン11.2 mg/dL、尿酸8. 2 mg/dL、Na 130 mEq/L、K 6.3 mEq/L、Cl 98mEq/L、Ca 7.3 g/dL、P 6.0 mg/dL、HCO3- 11mEq/L。胸部エックス線写真で心胸郭比56%であり、心電図で左室肥大を認める。
この患者に当てはまらないのはどれか。

a. 血液アニオンギャップは異常値

b.    PTH産生は亢進している

c. 正球性正色素性貧血である

d. 血液透析適応外である

参考問題は105D45

⇒https://minkore.com/bbs_view/105_4_45

解答・解説は次回。