正答率8割問題作ってみた-17 腎臓 《尿細管疾患の検査所見》

まずは前回の解答・解説から。

64歳の男性で1か月前からの浮腫や全身倦怠感出現とのことから、膜性腎症や糖尿病性腎症、アミロイド腎症等を想起する。10年前から高血糖と高血圧を指摘されていたとのことから、これらの合併症が進行していることが考えられる。現病歴で血圧166/100mmHgはⅡ度高血圧に相当し、空腹時血糖とHbA1cの値、尿糖+から糖尿病と診断できる。また、尿検査にて蛋白3+、血液検査にて総蛋白4.6g/dL、アルブミン2.6g/dLはネフローゼ症候群の診断基準を満たす。夜間頻尿や尿素窒素高値、クレアチニン高値、血性カリウム高値は尿濃縮障害と高カリウム血症を伴った慢性腎不全を示唆し、それに起因して腎性貧血の所見(眼瞼結膜に貧血、Hb低値、Ht低値)がみられていると考える。両下肺野でcoarse cracklesが聴取されるのは、慢性腎不全により肺水腫が生じているからであろう。

a. 血液アニオンギャップは異常値 ⇒正しい。末期腎不全になるとアニオンギャップが増加する代謝性アシドーシスになっている可能性が高い。実際に計算してみると、[Na+]-([Cl-]+[HCO3-])=130-(98+11)=21mEq/L(基準値12±2mEq/L)と増加している。

b. PTH産生は亢進している ⇒正しい。慢性腎不全では、活性型Vit Dの低下による低カルシウム血症のため、副甲状腺ホルモン産生は亢進している。過剰な副甲状腺ホルモンは骨病変(骨軟化症等)を引き起こす。

c. 正球性正色素性貧血である ⇒正しい。通常、慢性腎不全ではエリスロポエチン産生低下によって正球性正色素性貧血になる。

d. 血液透析適応外である ⇒誤り。慢性腎臓病患者で肺水腫と高カリウム血症をきたしている場合、透析療法を直ちに行うべきである。また、高カリウム血症による不整脈は致死的となり得るため、その予防としてグルコン酸カルシウム静注も考慮する。

それでは今日の問題。

57 歳の女性。全身倦怠感、脱力および食欲不振を主訴に来院した。1か月前から全身倦怠感と食欲不振とを自覚するようになった。数日前から脱力も認めるよう になり受診した。50 歳時に眼や口腔内の乾燥症状を自覚し、自宅近くの診療所で Sjögren 症候群と診断され治療を受けている。55 歳時に腎結石を指摘されている。 身長 158 cm、体重 45 kg。体温 36.1 ℃。脈拍 64/分、整。血圧 124/76 mmHg。眼 瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。表在リンパ節を触知しない。心音と呼吸音 とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。上下肢に徒手筋力テスト4程度の筋力低下を認める。血清生化学所見:総蛋白 7.2g/dL、アルブミン4.0g/dL、クレアチニン 1.0mg/dL、Na 138mEq/L、Cl 108mEq/L。血漿レニン活性14.5ng/mL/1時間(正常1.2~2.5)、血漿アルドステロン37ng/dL(正常5~10)。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.28、PaO2 96Torr、PaCO2 35Torr。

検査所見として正しいのはどれか。

a. 動脈血HCO3- 24mEq/L

b. アニオンギャップ≧30mEq/L

c. 血清K 6.0mEq/L

d. NH4Cl負荷後尿pH 6.5

参考問題は110I71

⇒https://minkore.com/bbs_view/110_9_71

解答・解説は次回。