正答率8割問題作ってみた-21 腎臓 《全身性疾患と腎障害》

まずは前回の解答・解説から。

66歳という比較的高齢の患者で、半年前からの足部の浮腫という慢性経過を経る尿蛋白陽性の疾患。総蛋白 4.0 g/dL、アルブミン 2.0g/dL、LDLコレステロール 200 mg/dL、随時尿の尿蛋白/クレアチニン比が 4.0 g/gクレアチニンであることから、ネフローゼ症候群である。生検所見を見る前に、中高年のネフローゼ症候群で血尿(±)という部分からだけでも膜性腎症の可能性が高いことを念頭に置けるとよい。腎生検PAM染色標本では基底膜から突出したスパイクが認められ、電子顕微鏡写真では糸球体基底膜上皮下に沈着物が認められる。よって膜性腎症の診断でよいだろう。

a. Goodpasture症候群 ⇒Goodpasture症候群では血痰と血尿がみられる。

b. 膜性増殖性糸球体腎炎 ⇒一次性は若年者に多く、二次性は中高年に多いが、血尿(+)の疾患で腎生検の光顕所見ではメサンギウム細胞の増殖がみられる。

c. 膜性腎症 ⇒正解。

d. Alport症候群 ⇒糸球体基底膜を構成するⅣ型コラーゲンα鎖遺伝子異常による疾患で、感音難聴と眼病変が特徴的。乳幼児期の無症候性血尿で発見されることが多い。

それでは今日の問題。

70歳の男性。前夜からの激しい腹痛を訴え来院し、入院した。2週間前から両下腿に皮疹が出現し、両膝関節痛もあった。身長168cm、体重57kg。体温36.8℃。脈拍84/分、整。血圧150/82mmHg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両下腿に皮疹を認める。両側の足背に軽度の浮腫を認める。尿所見:蛋白1+、潜血3+、沈渣に赤血球多数/1視野、尿蛋白1.8g/日。血液所見:赤血球420万、Hb12.2 g/dL、Ht36%、白血球9,400(分葉核好中球64%、好酸球3%、好塩基球1%、単球7%、リンパ球25%)、血小板19万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.8g/dL、尿素窒素32mg/dL、クレアチニン1.5mg/dL。免疫血清学所見:抗核抗体陰性、MPO-ANCA陰性。血清補体価正常。尿中Bence-Jones蛋白陰性。診断のため腎生検を行った。下腿の皮膚所見、腎生検のPAM染色標本及び蛍光抗体IgA染色標本を別に示す。
この患者について誤っているのはどれか。

a. 半月体は腎予後不良因子である

b. 糸球体基底膜が菲薄化する

c. 治療はステロイドを用いる

d. メサンギウム領域が増殖する

参考問題は111B46

⇒https://minkore.com/bbs_view/111_2_46

解答・解説は次回。