正答率8割問題作ってみた-22 腎臓 《腎臓と高血圧》

まずは前回の解答・解説から。

腹痛、両下腿の皮疹、両膝関節痛と多彩な症状が出ていることから、全身性疾患をまずは考える。蛋白1+や潜血3+、沈渣で赤血球多数/1視野より、糸球体腎炎も存在する。尿素窒素やクレアチニンも高値であり、腎機能障害があることが分かる。全身性疾患かつ腎機能障害をもたらす疾患として、IgA血管炎、ループス腎炎、ANCA関連腎炎、骨髄腫腎などが考えられるが、抗核抗体陰性よりループス腎炎が、MPO-ANCA陰性よりANCA関連腎炎が、尿中Bence-Jones蛋白陰性より骨髄腫腎がそれぞれ否定される。

下腿皮膚所見より、両下腿に暗赤紫食の点状皮疹が多発している。腎生検のPAM染色標本より、メサンギウム増殖や半月体形成が認められる。蛍光抗体IgA染色標本より、メサンギウム領域を中心にIgAの沈着が認められる。

これらの所見は、IgA血管炎に起因する紫斑病性腎炎に合致する。

a. 半月体は腎予後不良因子である ⇒正しい。紫斑病性腎炎の腎機能予後は,腎病理所見で分節性病変(半月体,硬化,ボウマン囊との癒着など)を認める糸球体の割合と相関する.

b. 糸球体基底膜が菲薄化する ⇒間違い。菲薄化も肥厚も認めない。

c. 治療はステロイドを用いる ⇒正しい。一般には予後良好で数週間で自然治癒するが、半月体形成やメサンギウム増殖が顕著な場合はステロイドによる積極的治療が必要である。

d. メサンギウム領域が増殖する ⇒正しい。IgA腎症と同じ所見、つまりメサンギウム増殖性糸球体腎炎を呈する。

それでは今日の問題。

40歳の女性。近医で高血圧を指摘されたため来院した。 血圧は2年前までは正常であった。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。脈拍 76/分、整。血圧 180/110 mmHg。左右差はない。心雑音はなく、肺野にラ音を認めない。腹部に血管雑音を聴取する。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球 455 万、Hb 12.8 g/dL、Ht 38 %、白血球 5,800。血液生化学所見:総蛋白 6.7 g/dL、アルブミン 4.3 g/dL、尿素窒素 14 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、総コレステロール 208 mg/dL、Na 143 mEq/L、K 3.6 mEq/L、Cl 102 mEq/L、ACTH 14.4 pg/mL(基準 60 以下)、血漿レニン活性20 ng/mL/時間 (基準1.2~2.5)、コルチゾール 8.3μg/dL(基準 5.2~12.6)、尿中カテコラミン正常、CRP 0.2mg/dL。

診断確定に有用なのはどれか。

a. 腎動脈造影

b. Swan-Ganzカテーテル

c. ガリウムシンチグラフィ

d. 腎生検

参考問題は108D28

⇒https://minkore.com/bbs_view/108_4_28

解答・解説は次回。