正答率8割問題作ってみた-238 感染症 《易疲労感》

まずは前回の解答・解説から。

上前腸骨棘と恥骨外縁を結ぶ線というのは鼠径靭帯に一致し、その頭側かつ恥骨結節の 5 cm右外側に径4 cmの膨隆があり、突然発症した疼痛・圧痛を認めることから、鼠径ヘルニアが嵌頓している病態を考える。

a.臥位で膨隆が消失すれば自然治癒する →間違い。この症例では嵌頓が疑われるため臥位でも膨隆が消失するとは考えにくく、また鼠径ヘルニアはたとえ嵌頓していなくても自然治癒することは考えにくい。

b.ハウシップ-ロンベルク徴候陽性となる →間違い。ハウシップ-ロンベルク徴候とは大腿内側から膝・下腿にかけて生じる疼痛やしびれのことで、ヘルニア内容が閉鎖神経を圧迫することにより生じる。閉鎖孔ヘルニアに特徴的。

c.ヘルニア門の同定が術式決定に必須である →間違い。鼠径靭帯との位置関係から鼠径ヘルニアであることが分かっているだけでも十分で、それ以上、すなわち外鼠径ヘルニアと内鼠径ヘルニアの鑑別はそもそも手術をしないとわからないことも多く、それらの鑑別は重要とは言えない。

d.前立腺全摘はこの疾患のリスク因子である →正しい。鼠径部ヘルニアのリスク因子として、男性、加齢、家族歴、低BMI、前立腺全摘、胸腹部大動脈瘤などが挙げられる。

それでは今日の問題。

36歳の男性。 約1年前から易疲労感を感じていた。約1週間前から陰茎に傷があることに気付いていたが、痛みがないためそのままにしていた。
既往歴: 約2年前に淋菌性尿道炎の治療歴がある。アレルギー歴はない。
生活歴:喫煙歴はなく、飲酒は機会飲酒。10年来の不特定多数の女性と性交渉がある。
現症: 意識は清明。身長 180 cm、体重 58 kg。体温 38.0 ℃。脈拍 60/分、整。血圧 110/80 mmHg。呼吸数 12/分。SpO₂ 98 % (room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。表在リンパ節を触知しない。四肢筋力と腱反射は正常である。陰茎腹側に周堤を伴う潰瘍を認めるが痛みはない。
検査所見: 血液所見:赤血球 468万、Hb 13.9 g/dL、Ht 42 %、白血球 4,300(好中球 75 %、好酸球 8 %、好塩基球 1 %、単球 6 %、リンパ球 10 %)、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 7.5 g/dL、アルブミン 3.9 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、直接ビリルビン 0.2 mg/dL、AST 34 U/L、ALT 18 U/L、LD 178 U/L (基準176~353)、ALP 340 U/L (基準115~359)、γ-GTP 30 U/L (基準8~50)、CK 42 U/L(基準30~140)。STS検査陽性、TPHA検査陰性であった。

誤っているのはどれか。

a.約1年前に梅毒に感染したと考える

b.STSは治癒後は陰性になる

c.5類感染症の全数把握疾患に分類される

d.病原体はグラム染色で染まりにくい

参考問題は111E66

→https://minkore.com/bbs_view/111_5_66

解答・解説は次回。