正答率8割問題作ってみた-26 内分泌・代謝 《多尿》

まずは前回の解答・解説から。

分娩時に大量出血があり、徐々に食欲低下や冷感、倦怠感といった症状がでてきたという経過からSheehan症候群が思い浮かぶだろう。授乳経験がないことは低プロラクチン血症を示唆し、無月経は低ゴナドトロピン血症を示唆する。TSH↓、FT4↓、CK↑は続発性甲状腺機能低下症、コルチゾール↓は副腎機能低下症である。このような症状をすべて満たすのが汎下垂体機能低下症であるSheehan症候群である。分娩時の大量出血により下垂体が虚血⇒壊死に陥り、下垂体が分泌するホルモンが一様に低下する。治療はホルモン補充である。

a. CRH試験でACTHが増加しない。 ⇒正解。正常では視床下部ホルモンのCRHによって下垂体前葉ホルモンのACTHの分泌は増加するが、Sheehan症候群では汎下垂体機能低下に陥っているためACTHは増加しない。

b. 好中球が増加している。 ⇒Sheehan症候群ではコルチゾール低下によって白血球中の好中球は減少する。

c. 血清Kが高値である。 ⇒アルドステロン低下により血清カリウムは高値になるが、Sheehan症候群はRAA系に直接関与しているわけではないため特に血清カリウムが高値になるわけではない。

d. TRH試験でGHが増加する。 ⇒TRH試験でGHが増加するのは先端巨大症のときのみ。通常ではみられない機序によるもので、奇異性分泌という。

それでは今日の問題。

35歳の男性。口渇を主訴に来院した。1か月前から口が異常に渇き、お茶やジュースなどを1日約5リットル飲むようになった。尿量も多く、夜間に3回以上排尿するようになった。意識は清明。身長172cm。体温36.7℃。脈拍80/分、整。血圧120/76mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。尿量4,500mL/日。血液所見:赤血球520万、Hb14. 5 g/dL、Ht48%、血小板25万。血液生化学所見:血糖85mg/dL、HbA1c5.2%(基準4.3~5. 8)、総蛋白7.2 g/dL、アルブミン5. 2 g/dL、尿素窒素24.0 mg/dL、クレアチニン0.9 mg/dL、尿酸7.5 mg/dL、総コレステロール215mg/dL、AST32IU/L、ALT28IU/L、LDH220 IU/L (基準176~353) 、Na 147 mEq/L、K4. 2 mEq/L、Cl105 mEq/L、Ca9. 2 mg/dL、P4.0mg/dL。尿浸透圧:デスモプレシン〈DDAVP〉5μg点鼻投与前160mOsm/L、投与後460mOsm/L。
この患者について誤っているのはどれか。

a. MRIT1強調像で脳下垂体後葉の高信号が消失する

b. 神経障害や腎障害を合併する

c. 水制限試験をしても尿浸透圧は変わらない

d. 血漿ADHは低値である

参考問題は102I56

⇒https://minkore.com/bbs_view/102_9_56

解答・解説は次回。