正答率8割問題作ってみた-31 内分泌・代謝 《認知症の鑑別》

まずは前回の解答・解説から。

易疲労感や動悸、発汗過多、イライラ、手の震えは総じて甲状腺中毒症状であり、甲状腺がびまん性に軽度腫大していることからBasedow病かもしくは無痛性甲状腺炎を考える。亜急性甲状腺炎であれば甲状腺がびまん性に腫大するのではなく限局的な結節が認められ、先行感染もあるはずであるから否定的。眼球突出から甲状腺眼症を呈するBasedow病が最も疑われる。TSH低値、FT3高値、FT4高値よりBasedow病の可能性が検査所見からも高いといえる。

a. メチマゾール投与 ⇒正解。Basedow病の治療は抗甲状腺薬(メチマゾール、プロピルチオウラシル)が第一選択。

b. イソプロテレノール投与 ⇒β刺激薬であるイソプロテレノール投与は動機などをさらに増悪させる可能性がある。

c. サイロキシン投与 ⇒甲状腺ホルモンが過剰な状態下で甲状腺ホルモンであるサイロキシンを投与することは禁忌。

d. スピロノラクトン投与 ⇒スピロノラクトンはアルドステロン拮抗薬であり、原発性アルドステロン症などで用いる。

それでは今日の問題。

56 歳の女性。物忘れを主訴に長女に連れられて来院した。1年前から寒がりになり、冬季は家にこもってほとんど外出しなくなった。別居中の長女が訪問した 際、部屋にはごみが散乱しており、受け答えが支離滅裂で長女の名前を想起することができなかったという。身長 151 cm、体重 62 kg。体温 35.8 ℃。脈拍 52/分、整。血圧 108/68 mmHg。呼吸数 14/分。頭髪と眉毛とが疎である。胸腹部に異常を認めない。両下腿に圧痕を残さない浮腫を軽度認める。頸部に弾性硬、びまん性の甲状腺腫を認める。圧痛はない。嗄声で声量は小さく、改訂長谷川式簡易知能評価スケールは7点(30 点満点)。脳神経系、感覚系および小脳系に異常を認めない。筋力は正常だがアキレス腱反射で弛緩相の遅延を認める。 血清生化学所見:TSH 60μU/mL(基準0.2~4.0)、T3 82ng/dL(基準80~220)、T4 2.0μg/dL(基準5~12)、FT4 0.3ng/dL(基準0.8~2.2)。免疫学所見:抗サイログロブリン抗体 8.0U/mL(基準0.3以下)、抗TSH受容体抗体 0.5%(基準10以下)。

この患者に対する治療薬で適切なのはどれか。

a.副腎皮質ステロイド薬

b.ChE阻害薬

c.サイロキシン製剤

d.L-dopa

参考問題は107A43

⇒https://minkore.com/bbs_view/107_1_43

解答・解説は次回。