正答率8割問題作ってみた-55 消化器 《腹部膨満感と体重増加》

まずは解答・解説から。

黄疸、総ビリルビン4.5mg/dL、AST・ALT高値より肝障害を疑う。シカ肉を生食してから1か月で肝障害が生じていることから、HEV感染による急性肝障害が最も考えられる。肝腫大や胆嚢萎縮といった所見はHEVによる急性肝炎の所見と矛盾しない。また、意識清明で肝萎縮がないことから、重症化/劇症化にまでは至っていないと考える。

a. 劇症肝炎の原因になる ⇒正しい。特に妊婦が感染すると劇症化しやすいため特に注意する。

b. 治療は保存治療でよい ⇒正しい。HAV、HBV、HCV、HEVの4者による急性ウイルス性肝炎は、一般的には自然治癒傾向が強いため保存治療でよい。B型急性肝炎の重症化予測例には核酸アナログ(ラミブジンなど)を、C型急性肝炎の慢性化予測例にはIFNなどの抗ウイルス療法が良い。

c. 致死率はA型肝炎より低い ⇒間違い。HEV感染による致死率は1~2%といわれ、HAV感染に比べて約10倍高い。特に妊婦では劇症肝炎による致死率が20%以上ともいわれる。

d. 健常人なら慢性化しない ⇒正しい。免疫機能が正常でない場合(臓器移植患者やHIV感染者など)では慢性化する場合もあるが、免疫機能が正常であればE型肝炎は慢性肝炎になることはないと考えられている。

それでは今日の問題。

61歳の男性。腹部膨満感と体重増加を主訴に来院した。2週間前から腹部の膨満感が出現し体重が8kg増加した。これまでに心疾患を指摘されたことはない。意識は清明。身長160cm、体重69kg。体温36.5℃ 。脈拍60/分、整。血圧124/62 mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨隆し波動を認める。圧痛を認めない。下腿に高度の浮腫を認める。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球348万、Hb11.1 g/dL、Ht34%、白血球3,500、血小板7.0万、PT-INR2.0(基準0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン2.7g/dL、総ビリルビン1.3 mg/dL、直接ビリルビン0.6mg/dL、AST68U/L、ALT58U/L、γ-GTP51 U/L (基準8~50)、アンモニア138μg/dL(基準18~48)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、Na140 mEq/L、K4.1mEq/L、Cl101 mEq/L。胸部エックス線写真と心電図とに異常を認めない。
誤っているのはどれか。

a. 尿量は減少する

b. まず生理食塩水を輸液する

c. γグロブリンは高値になる

d. 低蛋白食が望ましい

参考問題は112D52

→https://minkore.com/bbs_view/111_4_52

解答・解説は次回。