正答率8割問題作ってみた-56 消化器 《飲酒と肝臓》

まずは前回の解答・解説から。

身体所見から、浮腫や腹水貯留があることが分かる。また、汎血球減少やPT-INR延長、アルブミン低値から肝硬変があることが分かり、浮腫や腹水貯留は肝硬変によるものであると推測できる。肝硬変ではアルブミン低値により血漿浸透圧が低下し、その結果浮腫や腹水貯留をきたす。肝硬変では①浮腫・腹水に対する治療、②肝性脳症に対する治療、③胃・食道静脈瘤の治療を総合的に行う必要があり、今回の症例の場合、胃・食道静脈瘤に対する治療は必要ないものの、高アンモニア血症から肝性脳症の存在が疑われるため、①と②に対する治療が必要である。

a. 尿量は減少する ⇒正しい。腹水や浮腫がある分、血管内脱水により尿量は減少する。

b. まず生理食塩水を輸液する ⇒間違い。生理食塩水の輸液は体内の水分量を増加させるし、塩分そのものも腹水悪化を招く危険性がある

c. γグロブリンは高値になる ⇒正しい。慢性炎症を反映し、形質細胞がγグロブリンをつくるため高値になる。

d. 低蛋白食が望ましい ⇒正しい。肝性脳症に対する対応として必要である。

それでは今日の問題。

48歳の女性。意識障害のため搬入された。付き添ってきた母親によると、熟睡できないため日本酒5合を毎晩飲んでいたという。2週前から全身倦怠感が、1週前から食思不振が出現した。昨日、友人の結婚式でワインをボトル1本一気に飲み干した後、発熱が出現した。搬入時の意識レベルはJCSⅡ-10。身長157cm、体重65kg。体温38.2℃。呼吸数24/分。脈拍108/分、整。血圧146/92mmHg。腹部に軽度の膨満を認め、心窩部に肝を4cm触知し、圧痛を認める。左肋骨弓下に脾を3cm触知する。血液所見: 赤血球325万、Hb10. 8g/dl、Ht32%、白血球13,500、血小板8. 7万。血液生化学所見:血糖143mg/dl、HbA1c6.7 % (基準4.3~5. 8)、総蛋白5.7 g/d/、アルブミン2.8 g/dl、総コレステロール116mg/dl、トリグリセリド234mg/dl、総ビリルビン2.7 mg/dl、直接ビリルビン2.2 mg/dl、AST 134IU/l、ALT98 IU/l、ALP420 IU/l (基準115~359) 、γ-GTP 757 IU/l(基準8~50) 。CRP 2. 5 mg/dl。
この疾患の説明として誤っているのはどれか。

a. β酸化は亢進している

b. 血清IgAが高値になる

c. 合併症として慢性硬膜下血腫がある

d. 肝組織に好中球が浸潤する

参考問題は105D57

→https://minkore.com/bbs_view/105_4_57

解答・解説は次回。