正答率8割問題作ってみた-58 消化器 《飲酒後の腹痛》

まずは前回の解答・解説から。

夕食後の上腹部痛より、胃潰瘍、急性膵炎、急性胆管炎、急性胆嚢炎などが鑑別疾患に挙がる。右季肋部に強い圧痛を呈することから、上記の疾患のなかでは急性胆管炎や急性胆嚢炎が疑わしい。炎症が起きていることは白血球高値やCRP高値から読み取れる。総ビリルビン0.9mg/dLやAST28IU/L、ALT18IU/Lより、現在閉塞性黄疸はないと考える。CT画像より胆嚢管に嵌頓した結石の存在を認めることから、急性胆嚢炎と診断する。

a. メトロニダゾールが有効 ⇒間違い。肝胆膵領域でメトロニダゾールが有効なのは、アメーバ性肝膿瘍である。

b. 原因はC型肝炎が最多である ⇒間違い。急性胆嚢炎の原因の多くは胆嚢結石である。C型肝炎が原因として最多である疾患は、例えば肝細胞癌などである。

c. 閉塞性黄疸をきたすことがある ⇒正しい。この症例では閉塞性黄疸は見られていないないが、直接型優位のビリルビン高値を呈することがある。特に、胆汁うっ滞をきたすような病態(胆嚢結石の胆管への移動など)になるとより著明になる。このように胆管の圧迫や炎症性変化によって総胆管狭窄をきたした病態をMirizzi症候群という。

d. 胞状物内は大部分が血液である ⇒間違い。CTでみられる胞状物は腫大した胆嚢である。胆嚢内は通常胆汁で満たされている。この症例では胆嚢結石もみられる。

それでは今日の問題。

55 歳の男性。飲酒後の悪心と上腹部痛とを主訴に来院した。意識は清明。身長 165 cm、体重 58 kg。体温 37.2 ℃。脈拍 96/分、整。血圧 146/96 mmHg。呼吸数 20/分。心窩部に圧痛を認める。腸蠕動は消失している。血液所見:赤血球 520 万、Hb 14.2 g/dL、Ht 45 %、白血球12,800、血小板 22 万。血液生化学所見: 総蛋白 7.2 g/dL、アルブミン 4.5 g/dL、総ビリルビン 1.1 mg/dL、直接ビリルビン 0.6 mg/dL、ALT 60 IU/L、LD 240 IU/L (基 準 176〜353)、アミラーゼ 1,504 IU/L (基 準 37〜160)、尿素窒素 12 mg/dL、ク レアチニン 1.2 mg/dL、Na 135mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 100 mEq/L。CRP 1.5 mg/dL。腹部造影 CTを別に示す。

この疾患について誤っているのはどれか。

a. 胸膝位で症状が軽快する

b. 血管透過性が亢進する

c. ARDSに注意する

d. アミラーゼ値は予後を規定する

参考問題は110D52

→https://minkore.com/bbs_view/110_4_52

解答・解説は次回。