ほくと先生ってどんな人?産業医の仕事【3/4】

前回は精神科診療の極意についてでした。
今回はほくと先生の別の顔、産業医について伺いました!

-まず、産業医にはどのような種類がありますか?

産業医には専属の産業医と嘱託の産業医がいます。大企業には、毎日会社に産業医が来ますが、中小企業には月一回しか産業医が来ないのです。専属の産業医は従業員1000人以上の事業所にいます。1000人に及ばないけど、50人を超えた事業所は嘱託の産業医を置かなくてはいけません。

-産業医ではどういった会社の社員さんを見てるのですか?

僕は嘱託の産業医をいくつかやらせてもらっているのですが、例えば、車のカーナビを作る会社に行かせてもらってますね。カーナビ作りは自動化できない部分があって、手作業で働いている人たちがいます。車のデザインによってカーナビのデザインが変わるからなんですね。

従業員の方々は、埃の入らない部屋でパネルに合わせてシールを貼る仕事などをしています。そこで、車自体の売り上げが伸びると下請けのカーナビの生産も増えていきます。その場合、下請けのカーナビメーカーは、従業員数を増やさなくては追いつかないのですが、実際はそんな簡単には、人は集まりません。応募者がなかなかいないということもありますが、仕事に熟練度が必要なので、人を集めただけでは、すぐ現場に出せないという事情があります。カーナビは単価が高く、失敗をできるだけだしたくないため、一定期間、練習しないと仕事ができないのです。

ですから、増産が追いつかないからといって、休日出勤などの長時間労働者が増えないように、またそのような状況下で体調不良者を出さないように、アドバイスすることが仕事です。これは、私自身が、会社を経営していて、精神科の臨床経験もあることで、だいぶアドバイスできる幅が、広がっているなと感じています。

-違う仕事を知ることができますね。

それは本当にそうだと思います。お医者さんって本当にただ一つの業種に過ぎないですから。お医者さんの働き方は世間一般の働き方とはだいぶ違うと思いますし、世の中で、いろんな人がどんなことを考えて生きているのかを見れるので、産業医は興味深い仕事だと思いますね。逆に精神科の臨床をやっているときも、いろんな世界を知っていることで、患者さんの状況が理解しやすいというメリットがあると思います。

-産業医はなりたい人が応募するのですか?

従業員が50人に達した場合や雇っていた産業医が辞めてしまった場合に、産業医の新規の需要が発生します。人づてに紹介してもらう、というのも一つのやり方ですし、あるいは産業医を派遣している会社にお願いして紹介してもらうという方法もあります。

-ほくと先生は誰かに紹介してもらったのですか?

そうですね。みんコレ!を経営することで、産業医派遣会社を立ち上げた同年代の社長さんに知り合って、やり始めました。産業医にはもともと興味があって、研修医のうちに資格を取っていました。いろいろな働き方を見てみたいという気持ちがあったし、それから、精神科の臨床をやっていて、職場のストレスでうつ病になった人をたくさん見てきましたが、発症してしまうと、本人も会社も大変なので、やはり、発症前に、介入したいと思ったからです。産業医というのは日本医師会が定めてる資格で、一定時間の講習を受ける必要があります。これが、少し大変で、夏休みをつぶしたりなど、時間がかかるので、希望の診療科がしっかり決まっている人は、取る必要はないかなと思います。

逆に言えば、若いうちに取りたいのであれば、研修医のように、一定期間の夏休みが、ちゃんととれるような環境でとっておいた方がいいと思います。

私は、興味があったので、一応、研修医のうちに取ってみたところ、医師7年目に役立つことになりました。私の人生、わりとそういうところがあって、興味でやってみたことが、後々役に立つということが結構あります。

Profile
ボストン生まれの吉祥寺育ち
東北大学理学部を中退後、山梨大学医学部卒業
精神科医師×みんコレCEO×産業医として活躍中