研修医メルロの国試対策マニュアル2021【第3回】新初期臨床研修制度と新専門医制度

さて今回はメルロさんに初期臨床研修制度と新専門医制度について教えていただきます!

今回もコロナに負けず、頑張ろう!

初期臨床研修制度とは

みなさんご存知の初期臨床研修とは、医師免許取得後2年間の研修のことだね。「医師法第16条の2第1項」に定められていて、「医師が、医師としての基盤形成の時期に、患者を全人的に診ることが できる基本的な診療能力を修得することにより、医師としての資質の向上を図ることを目的としていて、地域の医療提供体制の整備に当たっても、重要な役割を果たすことが期待されるもの」として制定されたものだよ。

よく、「研修期間中はアルバイトは禁止」と聞くけども実は法律のどこにもそんなことは書かれていない。なぜなら日本国憲法の「労働の自由」に抵触する可能性が高いからね。

ではなぜ「アルバイト禁止」ということが有名になったのかというと、医師法16条の3には「臨床研修を受けている医師は、臨床研修に専念し、その資質の向上を図るように努めなければならない。」と定められているんだ。そして研修病院には、アルバイトをせずとも生活できるような給与や環境を整えるという努力義務があるんだ。そしてその努力を怠った病院には補助金が出なくなるんだ。だから病院は「アルバイト禁止」と言って補助金が断たれないようにしているわけだ。

このアルバイトとは「医師免許を必要とする仕事のみ」とする解釈と「医師免許の要・不要に関わらず仕事全般」とする解釈がある。厚労省の解釈としては後者のようである。

また、資産運用・不労所得(不動産収入・配当金など)・役員報酬などは厚生労働省が認めているようなので安心して欲しい。研修医や医学生のうちから投資の勉強をすることは大切であると思うよ。

資産運用はアルバイトじゃないですもんね!つみたてNISAやろうっと。

新医師臨床研修の基本3原則

1.医師としての人格を涵養
2.プライマリ・ケアへの理解を深め患者を全人的に診ることができる基本的な診療能力を修得
3.アルバイトせずに研修に専念できる環境を整備

確かに、アルバイト禁止とは書かれていないですね。。。

ちなみに初期研修2年間を終えないと、医籍に研修終了と記載されず、保険医としての仕事や開業に制限がかかるので注意だよ。

2020年度の初期臨床研修制度の変更点

2003年(平成15年)に初期臨床研修は始まったんだ。それ以前に医学部を卒業し医師国家試験に合格した人はそのまま大学や市中病院で専門研修をしたり、バイトをしたりしていたんだよ。

えー、いきなりバイトできたなんて羨ましいですね。

そんな初期臨床研修制度は5年ごとに見直しがされているんだ。改善点も多いけど、利権や忖度が相まった改悪もかなりみられているんだ。では2020年からの変更点を見ていこう。

7科目必修化

残念ながら2020年度からは必修科目が7科目になるよ。上の表のように月ごとではなく4週間ごとの研修になるようだ。しかし現実的には病院の体制はすぐには変わらないから月ごとになるんじゃないかな。そして選択期間が10ヶ月と、以前より2ヶ月間減ってしますんじゃないかな。

あとは救急科1ヶ月・麻酔科2ヶ月で回していた病院は救急科2ヶ月に増やさざるを得ないだろうね。麻酔科を賃金の安い研修医で回している病院は多いから麻酔科を減らすのは経営的に厳しいだろうから、「救急2ヶ月+麻酔2ヶ月」となるんじゃないかな。

選択科目が減ってしまったのはかなりの改悪です!
それだけ外科や産婦人科や小児科の医師が少なくなっていて現場が厳しいということですね。。。

経験症候・疾病を厳選

これはかなりの改善ポイントだ!経験症候や疾病も現状の52症候88疾病から、29症候26疾病に厳選されたんだ。多すぎて管理しきれなかったから数が減ってよかったね。
以下に羅列するよ。

【経験症候】

下記の症候を呈する患者について、病歴、身体所見、簡単な検査所見に基づく臨床推論と、病態を考慮した初期対応を行う。
ショック、体重減少・るい痩、発疹、黄疸、発熱、もの忘れ、頭痛、めまい、意識障害・失神、けいれん発作、視力障害、胸痛、心停止、呼吸困難、吐血・喀血、下血・血便、嘔気・嘔吐、腹痛、便通異常(下痢・便秘)、熱傷・外傷、腰・背部痛、関節痛、運動麻痺・筋力低下、排尿障害(尿失禁・排尿困難)、興奮・せん妄、抑うつ、妊娠・出産、成長・発達の障害、終末期の症候(29症候) 

【経験疾病】

下記の疾病を有する患者の診療に当たる。
脳梗塞・脳出血、脳動脈瘤・くも膜下出血、認知症、心筋梗塞、心不全、大動脈瘤、高血圧、肺癌、肺炎、急性上気道炎、気管支喘息、COPD、胃癌、消化性潰瘍、胆石症、大腸癌、腎盂腎炎、尿路結石、腎不全、高エネルギー外傷・骨折・捻挫、糖尿病、脂質異常症、気分障害、統合失調症、依存症(ニコチン・アルコール・薬物等)(25疾病)

研修医への評が初導入

初めて研修医評価表を作成し、半年ごとに研修管理委員会がフィードバックする仕組みを導入することになる。
研修医評価表は「A. 医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)」、「B. 資質・能力」「C. 基本的診療業務」で構成され、ローテーションごとに指導医や看護師を中心とした360度評価を行う。
評価はレベル1〜4の4段階で、上から2番目となるレベル3を取ることが求められる。最終的に研修管理委員会が評価をもとに14項目について既達か未達かを判定する。

つまり、研修医は指導医や看護師から気に入られるように努力する必要ができたわけだ。ただでさえ休日にも病棟に来いという指導医がいるのにこのような評価表ができてしまうとパワハラのようなことが起こりうるような気がするぞ。この制度は研修医にとってかなりの改悪だね。

興味がない科目であっても、「悩んでます」とか「入局の可能性あります」とか言って気に入られなきゃいけないのかな…なんだか気が重いです。

初期臨床研修制度による大学医局の崩壊

初期研修が始まった頃は大学病院に行く人が7割、市中病院に行く人が3割だった。しかし現在は大学病院が4割、市中病院が6割になっている(2019年マッチング結果より)。

市中病院で研修した医師はその後、大学病院に帰ってきづらい傾向があった。なぜならば給料が安く過酷労働が強いられるからだ。

大学医局からは若手医師がどんどん少なくなっていった。それを打開すべくとできたのが新専門医制度だ。これについては後述するよ。

うわぁ、研修医全体の人数は増加してるにせよ、大学病院研修者がかなり減少していますね。。。

新専門医制度とは

新専門医はまさに利権争いの象徴とも言える制度だ。各部署の意見をまとめるよ。

専門医機構の意見

各学会が専門医を乱立していてわかりにくい。一律に管理する必要がある。専門医の質を担保する必要もある。

→専門医認定は専門医機構が行うこととなる

各学会の意見

今まで専門医は学会が認定してきた。それが主な収入源になっており、完全に手放すことはできない。専門医機構の言い分はわかるが、ある提訴の裁量権は欲しい。

→学会により専門医取得の条件や年数などはバラバラとなる

大学病院・医局の意見

初期研修制度のせいで医局から医師が減っている。外勤先へ医師を派遣し医局の勢力を伸ばしていたが、最近ネットで外勤先を見つけてしまう医師が多くなった。もう一度大学医局に医師が集まる仕組みを作りたい。

→専門医が取得できる基幹施設は大学病院、国公立の大病院などに絞ることにより、大学に医師を集めようとする

地方の病院の意見

初期研修制度の地域医療のおかげで医師が来てくれるようになった。しかしそれでも医師数は少ないため都道府県ごとに医師を割り振って欲しい。

→医師が過剰な地域はシーリング(定員を絞ること)をすることとなる。しかし現実には新専門医制度により地方の医師数を激減させてしまうこととなり議論となっている。

患者側の意見

専門医って信頼できるの?あの病院、標榜している科目が多いけど大丈夫?(これは2002年より開業医は専門医資格を広告に掲載してよいとなったことに起因する)

とまあ、多くの意見が飛び交ってできた制度なんだ。だからまだ決まっていないルールもあるし、これから話し合うとか言ってるんだよ。この制度の開始は土壇場で1年延期になったりしたし、私たちから見ると、人生を決めなきゃいけない時に、こんな曖昧な機関が敷いたレールに乗らなきゃいけないのかと、不安になってしまうよ。

現実には、専門医機構と学会または学会同士で(2階建てや3階建てについての論争などで)揉めてしまっているし、地方から医師は減り、大学医局は人員を確保し復権したという感じかな。
流石に専門医をとれる施設を大学病院や公立の大病院などに絞ったらそうなることは目に見えていたけど。
今後はシーリングと言って首都圏などの医師を減らそうという施策を強めていくそうだよ。東京では専攻医の人数を5%ずつ減らしていくのだとか。
首都圏有利の制度を作っておいて、首都圏の医師を人数制限するなんて本末転倒だよね。

とはいえ、初期研修終わりの医師の9割はこの制度に登録するので見ておかなければいけないね(集団心理だけど)。

シーリング対策として、初期研修先を東京の大学病院にしてそのまま内定をもらおうとする人もいるみたいです。

新専門医制度の骨格

この制度の骨格は2階建てになっている。基本領域でまず専門医をとり、その領域に関係性のあるサブスペシャリティ領域の専門医をとる、という流れだ。以下に専門医領域を並べるよ。

19の基本領域

総合内科・外科・耳鼻咽喉科・麻酔科・形成外科・小児科・整形外科・泌尿器科・病理・リハビリテーション科・皮膚科・産婦人科・脳神経外科・臨床検査・精神科・眼科・放射線科・救急科・総合診療科

29のサブスペシャリティ領域

消化器・腎臓・消化器外科・小児神経・放射線治療・循環器・肝臓・呼吸器外科・小児血液・放射線診断・呼吸器・アレルギー・心臓血管外科・がん・手外科・血液・感染症・小児外科・周産期・脊椎脊髄外科・内分泌代謝・老年病・リウマチ・婦人科腫瘍・集中治療・糖尿病・神経内科・小児循環器・生殖医療

外科の場合は3階建ても検討中なのだとか。3階まで専門医を取得するのに10年くらいかかりそう。中年になってしまいますね。

新専門医制度に関して医学生が知っておくべきこと

知っておくべきことは、自分がなりたい診療科をなんとなくでも決めて、その科のホームページを見て、専門医が取れる施設を探しておくことだ。

初期研修から、専門医がとれる施設に行く必要はないとは思うけど、将来の進路をなんとなくでも決めておくといいと思うよ。

内科専攻医の場合は初期研修中のレポートも有効ですし、やはり早めに情報収集しておくことは大事ですよね。

マッチング参加登録開始!

2020度の医師臨床研修マッチングは6月11日(木)から参加登録開始しているよ!
出身大学から参加登録用のID・パスワードをもらって、オンライン手続きするのを忘れないようにしよう!

次回はみんなが気になっているマッチングについて解説するよ!お楽しみに!